近年新卒採用における採用の前倒し(サマーインターンを含む早期選考)が一般化していく中で、内定者をいかにつなぎとめるかが重要になってきています。
3年生の夏や秋ごろに内定を出すのは企業のおおよそ5-10%程ですが、内定を出す時期は全体的に早くなっています。
そのため、学生は長い場合には内定から入社まで1年以上待たなければならず、気持ちを保つことが難しい状況になっています。
学生のモチベーションの維持や入社辞退を防ぐために利用されているのが内定者研修です。
内定者研修については極めて多くの観点が存在します。
内定者を繋ぎ止める手法としては、内定者フォローや早期の活躍を促すオンボーディングなどがありますが、その中でも内定者研修は非常に効果的なものの一つです。
そこで今回は内定者研修についてどのように行っていくべきなのか解説していきます。
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1:内定者研修とは
内定者研修とは内定者に対して行う研修のことを指します。
内定者のフォローが主な目的となっています。
対象としては、内定承諾者は当然含まれますが、まだ承諾していない学生も対象に入ります。
基本的には会社のことを理解してもらったり学生のフォローをすることが重要な役割として取り組まれています。
それ以外にも、他の内定者との交流を図るなど様々なメリットがあります。
ちなみに我々のサービスでこの内定者研修をまるまる請け負うことは殆どありません。
中身の設計や内定者研修に同席させていただいて、内定者研修のフィードバックや翌年の採用に向けてのフォローなどをさせていただきます。
経営者などでは、面接や説明会など採用における一連のプロセスが個別に認識されてしまっている場合がよくあります。
それは学生側からすれば各フェーズで言うことが変わっていると思うかもしれません。
最初の頃はいいこと言ってたのに本性表したなと思ってしまいます。
一方で会社としては、最初の頃は学生がお客さん的な感じだったのがだんだん内部の人間になっていくにつれて扱いを変えるのは当たり前という認識があったりします。
しかし、それが早期離職につながってしまうこともあるのです。
現場の人事から見れば内定辞退は当然嫌ですが、経営陣から見れば入社後の早期離職の方が嫌なので入社前にギャップを埋めたいと思いがちです。
内定者研修も大事ですが面接や説明会の改善などの他の施策にも併せて取り組むといいでしょう。
目指すべきは学生に入社後のギャップをなくしつつ意向高い状態で入社してもらうことです。
2:内定者研修のメリットとは
内定者研修におけるメリットをここでは4つに分けて紹介していきます。
率直なところ、どのメリットを取っていきたいのかや何を重視していきたいのか各社によって異なると思いますので、それぞれのポイントに応じて取捨選択していただきたいと思います。
メリット1:学生のフォロー
内定者学生へのフォローを行っていけるのが最も重要なポイントです。
内定を獲得してから1年以上かかるケースも有り、その間のフォローが重要になります。
特にイベントなどがなければメールや電話などの形式的な連絡だけになってしまうため、関係性の構築のきっかけになるようなものがあまりないのが実情です。
そのあたりを踏まえてもこの内定者研修を一つのイベントとして捉えることで内定者とのつながりが強まるきっかけになります。
研修の前の連絡がフォローのきっかけになりますし、オンラインオフライン問わず研修をしっかりやっていくことで意向を高めることもできるでしょう。
終わった後にアンケートを取ることで今後のコミュニケーションの活発化も狙っていくことができるでしょう。
このように内定者研修を一つのイベントとして活用しフォローの質と量を改善していきます。
このメリットが特に向いているのは早期に内定を出している企業です。
また入社前辞退が多い企業についても、研修を通して関係性を構築することが入社自体を防止することが可能となりますので、向いていると言えます。
メリット2: オンボーディング
オンボーディングとは、組織に新たに加入した人材に支援を行って定着や早期の活躍を促すものです。
研修自体がオンボーディングとも言えますが、新たに加入してきた方にストレスなく会社に順応してもらうために行います。
我々の考え方としては、オンボーディングは入社前から始まるものだと捉えています。
内定の時点からオンボーディングを重視していくことは極めて重要だと言えます。
オンボーディングにも大きく分けて2つ観点があります。
- 早期退職を防ぐこと
- 早期に活躍できるようにすること
内定者研修ではどちらの観点も実現することができます。
早期退職を防ぐという観点では、面接や説明会で中々イメージできなかった現場をこの機会に体験してもらうことでミスマッチを防ぐことができます。
この2つを別々にやるのではなく、この2つが揃っているのがオンボーディングになっています。
内定者研修でいくらいいことを言ってもこんなはずじゃなかったとやめてしまうことがあります。
また、厳しいことを言えば入社前に辞退されてしまうでしょう。
このオンボーディングでは、早期に活躍できるという手応えを学生に掴んでもらうのが最も重要になります。
働く中で辛いこともありますし、給与や残業など厳しい状況になっている場合もあります。
ほかにも、文化など人事側で簡単に変えられないようなものもあります。
だからと言って、人事側にできることが全くないのかというと、そうではありません!
ただ、そこに向き合う姿勢などを伝えることで手応えを掴んでもらうことはできます。
「自分でもできそう」、「自分に向いている」、「自分なら活躍できそう」などの感覚を掴んでもらうことで結果的にそれがオンボーディングになるでしょう。
メリット3 :内定者同士の交流を深められる
採用側の感覚で言えば、内定者の不安は会社に対するものが多いように感じられるかもしれません。
しかし実際、内定者は同じ内定者にも不安を抱いています。
高い確率で同期や同僚になってくる人たちがどんな人達なのかは当然気になるでしょう。
新卒採用であれば、初めて会社に入社するにあたって知人がほとんどいない環境になるため、どのような人がいるのか不安になって当然です。
特に面接において自分を偽っているような場合は特に他の内定者のことが気になります。
例えば面接で真面目で人見知りするようなタイプでも面接で頑張って明るい人柄を演じていたりするケースも多くあります。
そうなってしまうと周りが明るい人ばかりで馴染めなかったらどうしようと悩んでしまうことになります。そういったことを防ぐためにも内定者同士の交流を促すことができるのは大きなメリットです。
メリット4:学生理解を深められる
研修と名の付くとおり、人事担当者や研修担当者が何かを伝えるだけでなく、会社が学生を理解する場として活用していただきたいです。
人事も学生が本当に入社してくれるか不安ですし、学生も会社に対して不安に思っているでしょう。
内定者研修における内容をそのまま学生のことを理解するために活用することができます。
ポイントとしては学生側から何かしらのアウトプットをもらい、その内容を元にその後のフォローに使うことです。
また、小手先感もありますが、人事が積極的にポジティブなメッセージを伝える場にすることです。
学生のアウトプットがあった際にそれに対して肯定するようなフィードバックをしていくことで学生を理解していると相手に伝えていきましょう。
多くの学生は「自分のことをわかってくれた」と言う気持ちを抱くと同時に「この会社でやっていける」という手応えを持ってもらえるでしょう。
やはり大学生が即戦力になれるようなスキルなどを持っているわけではないので、手応えを感じるというのもよくわからない話ではありますが、とにかくポジティブなフィードバックによってそのように錯覚してもらうのが大事になります。
3:内定者研修の設計方法
ここからは内定者研修の設計の中身について解説していきます。
具体的な手法に入っていく前に、どういった内容が内定者研修でよく使われているのかを紹介していきます。
我々がよく行わせていただく内定者研修は、ビジネスにおける基本的な概念(基礎知識、作法、名刺の渡し方など)を中心に解説していくものです。
その他にも論理的思考やコミュニケーションスキルなど基本的なものの研修も行っています。
このように業務に役立つ一般的な、どの会社にも役立つ持ち運びできるスキル(ポータブルスキル)の解説などを行っていたりしています。
ただこのように一方的にこちらから伝えるようなものはあくまでフックとして、全て内定者側からのアウトプットのあるものにすることが重要です。
内定者の考えなどをしっかり引き出してそれを肯定していくことが重要です。
弊社は外部講師としてもやらせていただいているものもあり、内定者研修以外もご依頼していただいている場合には社内の研修担当として関わらせていただくこともあります。
まず最初にやるべきはこの内定者研修のゴールを決めることです。単に決めるのではなく採用課題や採用上のコンセプトにしっかり結びつけるのが大事になります。
部分最適化してしまうと各フェーズでのメッセージが違うということになってしまいますので、会社の社員育成上の課題も解決できるように意識することが重要です。
早期の戦力化が過大であれば現場における早期の活躍とは何なのかを明らかにした上で内定者研修に組み込んでいくことがポイントです。
ゴールを決めれば自ずと内容も決まってきます。
提供の形態は状況によって変わっていきます。
パンデミックの影響でEラーニングにするのか、座学にするのかなどもあります。
またテーマに関しても先程上がってきた課題にしっかりとリンクするようなものにしましょう。
当然ですが課題と設計と実行がしっかりとリンクしていることが重要ですので、目先の手法にとらわれずに目標に対してベストなアプローチを用意しましょう
単なる座学中心に話を聞くだけでは飽きてしまうため、極力体験型の楽しみながら学べるようなものにしていきましょう。
また、できれば強制にはしないようにすることをおすすめします。
強制にしてしまうと負担感を煽ってしまうため、極力参加してほしいと口頭で伝えましょう。
研修の当日には研修の目的を常に意識しながら行いましょう。
相手に理解させることや研修そのものをゴールになってしまわないように気をつけましょう。
しかし本来、内定者研修に関しては伝える内容はさほど重要ではないのです。
むしろ内定者のフォローや会社の置かれている課題点が内定者研修で解決できるかが大事になります。
内定者研修を行う側はついつい内容を重視してしまいますが、課題から抽出した本当の目的を重視することがより重要になります。学生の満足度を大事に行っていきましょう。
内定者研修を単なる研修として扱ってしまうとやって終わりになってしまいます。
ただ研修すること自体は目的として大きくなく、フォローとしての側面が大きかったりするような場合、しっかりとフォローアップの仕組みを構築・活用してフォローアップを行っていきましょう。
あくまで内定者研修は単なる内定前に行う研修で業務の一環であると位置づけてしまうと問題になることがあります。
入社前の研修であるため業務ではないという扱いになり、給与も払われません。
会社によっては業務として扱って理解力テストなど行ったりすることもありますが、このようなやり方はかなりリスクが高いと言えるでしょう。
無償労働ややりがい搾取と捉えられてしまっては極めて大きなリスクあります。
そのような指摘を受けないためにも、しっかりとフォローを行っていきましょう。
まとめ
ここまで内定者研修のメリットや設計方法についてを解説してきました。
内定者研修と一口にいっても単に内定者のスキルを向上させるというだけでなく、内定を承諾していない学生に対しては承諾をしてもらえるよう働きかけるものであったり、内定を承諾している学生には入社後はたらきやすい環境を作る一環にもなっているということを忘れてはいけません。
前述したメリットにあるように、内定者のモチベーションアップや入社の辞退を防ぐためには、内定者研修を行っていくことをオススメします。
この内定者研修のクオリティを上げたいと考えている方や、取り入れてみようと検討されている方がおられましたらお気軽にお問い合わせください。