人事担当者を悩ませる、新卒・中途採用における内定者ブロックの対策まとめです。
採用担当者にとって、憂鬱、トラウマともいえるものが内定フェーズにおける【ブロック】ではないでしょうか。
ブロックとは転職をしたいと思っている人が最後の最後で反対に遭うことで、嫁ブロック(夫ブロック)、親ブロック、友達ブロック、教授ブロック(助教授ブロック)、先輩ブロック、紹介会社ブロック等様々なものがあります。
せっかく手間をかけて内定を出したのに、それが他社の介入によりブロックされてはひとたまりもないはずです。
先述のように【ブロック】には様々な種類がありますが、新卒採用でも中途採用でもどちらの場合でも非常に対処が難しいケースが多く、採用担当の方はブロックに対してトラウマに感じているのではないでしょうか。
そこで、今回はそのブロックが実際にどのようなものがあるのか、代表的なものの紹介とそれぞれに対する対策をご紹介しましょう。
特に我々は人材採用におけるコンサルティングサービスを提供しており、様々なケースにおける事例がありますので、その事例をもとにした対策をご紹介しましょう。
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1.そもそも、ブロックとは何か?
そもそも【ブロック】とは何なのかについて、改めて解説します。
厳格な定義ではありませんが、【ブロック】とは主に内定フェーズにおいて、応募者本人が入社を前向きに検討しているにもかかわらず、第三者がその本人に対して入社を反対(=ブロック)している状態を差します。
また、この記事では、分かりやすく反対するなどアクティブなブロックだけでなく、考え直すことを促すような、直接的ではないブロックの対策も今回は含んで考えていきます。
このブロックは、新卒採用と中途採用どちらにも起こりうるものですが、新卒採用と中途採用とでは若干色合いが異なります。
新卒採用の場合は本人がまだ学生であり、若く知識が少なく未熟であるという特徴があります。
そして、もう1つの大きな特徴が「どこかには入社しないといけない」点です。
一方で中途採用の場合には、本人は既に社会人であり、家族を持っているケースも多く「現職に留まる」という選択肢がある点が大きな特徴です。
これら、新卒採用と中途採用においてのブロックは、本質的には、だれかに入社を止められている状況をどのように防ぐのか、解決するのかが、ブロックの対策において重要な点と言えるでしょう。
把握する必要性、対策できるのか?
多くの方は、ブロックを「知ったところで何の意味があるんだ」と思われているかもしれません。
確かに、ブロックを知ったところで反対してくる人を無かった事にはできません。
このように、ブロックは遭遇してしまったら運が悪かったと諦めざるを得ない交通事故のようなものに思われがちです。
しかし、実際には、事前にある程度、パターンやポイントがあり、それを事前に把握しておくことでそもそもの「ブロック」の可能性を減らすだけでなく、ブロックされてもその影響を最低限に和らげることもできるのです。
例えば、本人が気づいていない会社のネガティブな点を別の人から指摘されて揺らぐようなパターンがあります。
この場合、本人が気づいていないネガティブな点にはあえて触れたくない人事の方も多いとは思いますが、逆にネガティブを事前に把握した上で選考に臨んでいればブロックは発生しません。
それに、先に伝えておくことで伝え方などを工夫した状態で伝えられるでしょう。
ブロックの場面については、採用側がコントロール出来るものではないので、もしかしたら実際以上に悪く言われてしまうかもしれません。
そういった意味では、コントロールできる環境下でネガティブポイントを伝えた方が傷も浅いでしょう。
そして、最終的には残業が多く忙しい企業であっても、「忙しいことは最初から知っているが、それを補ってあまりあるくらいのメリットがあるんだ」と思って面接に望んでいればブロックは発生しないということです。
驚くべきことに転職活動で配偶者に内定先を反対されたことのある割合は23%なのです。
その理由はこのような理由が挙げられます。
ここまで基本的なブロックについての内容と向き合い方を解説してきました。
それでは早速、ブロックにおける種類について解説していきます。
2.新卒採用・中途採用のブロックパターンのまとめと傾向
それでは早速、新卒採用・中途採用のブロックパターンのまとめと傾向について解説します。
頻出度や難易度に関してもわかりやすくなるように我々が独自に紹介しています。
ただ難易度に関しては個別ケースによる部分が非常に大きいので参考程度にしていただければと思います。
嫁ブロック(夫ブロック)
頻出度:★★★★★
難易度:★★★★☆
中途採用において頻出するブロックであり、ブロックの代表選手的存在です。
日本においてはまだまだ男性が働いて、女性が家庭を守るというのが少なくないので、転職先について、配偶者が反対するパターンが多くあります。
もちろん、女性の社会進出が進んできて夫ブロックも増えてきています。
また、当然ですが、新卒採用ではそもそもまだ学生で未婚者であるケースが多いため、このような配偶者のブロックはほとんど見受けられません。
一方で、中途採用に関しては頻出するため配偶者の有無を確認した上で、配偶者がいれば多かれ少なかれブロックがあると思っていたほうが無難でしょう。
実際に人事担当者や人材紹介会社のキャリアアドバイザーなどが知らないだけで、家庭内ではブロックが行われている可能性もあります。
基本的には、配偶者からのブロックは「家族の問題」なので、そもそも人事などに伝わるという時点で問題はかなり大きくなっていると考えるのが自然です。
この場合の解決の難易度に関しては、本当にケースバイケースといえます。
夫が年収が下がってでもやりたい仕事があるものの妻がそれを受け入れられないなど、完全に利害が反発してしまうケースはかなり難易度が高いです。
また、嫁ブロック(夫ブロック)では、内定が出るまで表面化しないというケースが多いです。
例えば、選考中に人事や人材紹介会社の担当者が応募者に対して、「配偶者の方は了承されていますか?」と質問したとしても、多くの場合「問題ない」と答えられるでしょう。
しかし、実際には、転職活動の細かな状況などを配偶者に共有していないケースが多いのです。
というのも、転職活動では選考の途中で落ちてしまうこともあります。
落ちてしまうことを配偶者に共有することは、恥ずかしい、プライドが傷つくという理由で共有したくないと考えるのです。
そういう応募者は、採用試験に受かってから配偶者に報告したほうがスムーズだと考えてしまいがちです。
そのため事前に完璧な対策は取りづらいですが、方法はあります。
具体的な対策方法の一覧についてはこの記事の後半に記載していますのでそちらをご覧ください。
親ブロック
頻出度:★★☆☆☆
難易度:★★★★★
新卒採用において稀にあるのがこの親ブロックです。
中途採用においては一切ないと思われている方もいるが実際には起こることもあります。
新卒採用においても基本的には本人の判断に任されているケースが多いので、あまり頻繁には発生しませんが、注意は必要です。
また親ブロックが発生する状況として、統計的な数字ではなく我々の肌感ですが、偏差値の高い学校からの応募者や女性に多く見られる傾向があります。
一般的に、在籍する学校の偏差値が高い応募者ほど、親御さんが子育てや教育に手をかけており、その分就職活動にも介入してくることも多いと言えます。
応募者本人がベンチャー企業に行きたいと思っても、「せっかくいい学校に入ったのにもったいない」という考えから、入社に反対するケースが少なくありません。
女性に関しても、ご両親が心配して介入してくるケースは男性より多めです。
また、親ブロックについては、当然ながら若手世代に多いですが、中途採用でも発生する場合があるので注意してください。
こういう場合、親ブロックされていても、応募者本人がそれをはねのけられるのであれば、人事までそもそも話が届きません。
親ブロックされているということが人事側の耳にまで届いているという事態であれば、採用の難易度は高く、相当厳しい状況になっていると考えて良いでしょう。
親ブロック対策の個別性は嫁ブロック(夫ブロック)に似て非常に高く、事前に把握することが極めて難しいです。
また、親御さんがあまりに支配的な場合は会話ややり取りの中などから事前にわかることもありますが、「落ちたら恥ずかしい」ということで受かるまで言わないことは親でも同様にあります。
友達ブロック
頻出度:★★☆☆☆
難易度:★★☆☆☆
友達ブロックについては、本当に積極的にブロックされるものではありません。
例えば、就職活動を同じタイミングでスタートした友人と状況をシェアしている時に「なんでそんな会社にいくの?」と批判されるようなことを指しています。
友人は、配偶者や親ほどには強い関係性ではありませんので、それほど強力なブロックではないです。
このブロックは新卒採用の場合に多いのですが、中途採用の場合でも起こることがあります。
例えば、就職や転職などの重要なことは、仲の良い親友に相談してから決めたいと考える人も一部います。
そのような場合、その友人か積極的には反対しておらず、「そんなにそこの会社は良くないんじゃない?」という軽めな批判でも、本人にとっては大きく考えを左右されかねません。
特に、中途の場合は現状維持の選択も可能で先送りができてしまいます。現状維持のほうが楽ですし友人も転職していないのであれば流されてしまいがちです。
例えば今の会社に2,3年目で転職を考えている場合に、「2、3年で辞めたらキャリアに傷がつくんじゃない?」と言われてしまいます。
このようなことが起こり得てしまうのが中途の友人ブロックの難しいところです。
教授ブロック
頻出度:★★☆☆☆
難易度:★★★★★
このブロックについては、新卒採用に限った内容です。
教授から就職先について反対を受けるのがこのパターンのブロックです。
このブロックは文系より理系の場合によく見られます。
理由としては、文系の場合は学生と教授との関係が比較的希薄な場合が多いですが、理系の場合研究室に時間が割かれるケースが多いので関係性が強くなりやすいためです。
しかし、実際には多くの教授は推薦などを除いて就職活動にそこまで関心を持っていないケースが多いので、頻出度としては、そこまで高くはありません。
なぜなら多くの教授は、研究に関わるため就職活動がうまくいっているかどうかは気にするものの、どこに行くかはあまり気にしていない場合がほとんどです。
ただこのブロックが起きてしてしまえば難易度はとても高いのです。
また、人事担当者としても、その学生の入社にこだわりすぎるとその後の教授との関係性にひびが入ってしまいます。
うまくやらないと今後その研究室から入社する人材がいなくなってしまうこともあるので、中長期的な観点で見ていくことが必要です。
先輩ブロック
頻出度:★★☆☆☆
難易度:★★★☆☆
新卒採用に多いものの中途採用でも起こりうるものが先輩ブロックです。
先輩から入社を反対されるケースも、部活やサークルなどに所属していれば少なくはありません。
難易度としては友人ブロックより高くなる傾向があります。
知識量が多く就職活動を既に経験している分説得力があり、「この学校のレベルならもっといい会社狙えるって。」などと言われてしまえば揺らぐことも少なくありません。
基本的には先輩ブロックはその先輩との関係性の強さによって難易度が変わります。ある意味主従関係のようになっていれば、難易度はかなり高いと言えるでしょう。
ここまでで代表的なブロックを解説してきました。
最後に特殊なブロックですが1つ紹介していきます。
紹介会社ブロック
頻出度:★☆☆☆☆
難易度:★★☆☆☆
これは、紹介会社の担当者がブロックをして、「他の会社に入社させようとするパターン」と「もう一度就職活動(転職活動)をさせようとするパターン」の、大きく分けて2パターン存在します。
まず「他の会社に入社させようとするパターン」というのは、学生が内定が出ている会社と比較する際に、他社の紹介の方を優先したがるというようなケースのことをいいます。
フェアとは言えませんが、実際にそういう紹介会社もあります。
例えば、人材紹介の成功報酬が個別の契約の場合、自社よりも成功報酬の高い会社の方に入社させようとするパターンを想像してください。紹介会社の立場からすれば、より大きな利益を得られる会社への入社を優先したがるというのも、十分考えられるのではないでしょうか。
一方の「もう一度就職活動(転職活動)をさせようとするパターン」は、入社を決意して就職活動を終えている学生に、紹介会社があえてアプローチしていくケースです。
学生に直接アプローチをして「A社(自社)に決まりました」と学生が答えれば「そんな会社でいいの?」と紹介会社が自社の悪口を言い、他の会社を勧めようとするのです。
その悪口を真に受けてしまって、辞退したり、もう一度就職活動をしてしまう学生もいます。
そのため、入社を承諾した学生に対しても安心しきるのはリスクがあります。
そういった場合の対策も必要と言えるでしょう。
3.2つのブロックの対策を徹底
ここまででブロックについてのまとめを解説してきました。
最後に、どのようにすればブロックを防ぐことができるのか、具体的な対策をご紹介します。
ブロックは完全に防ぐことはできませんが、対策を行ってリスクを下げていくことが重要です。
先にリスクを潰す
最も重要な点は先にリスクを潰すことです。
本人が気づいていないデメリットに人事側が気づいたとき、伝えないほうがいいのではと思ってしまうこともあるでしょう。
しかし、会社側に伝えられていないリスクを他者から指摘される際に多くのブロックは発生するので、リスクに関しては事前に誠意をもって説明しましょう。
具体的なリスクは過去の辞退者の辞退理由に内包されています。
しっかりとリスクを洗い出しておき、事前に伝えておく、あるいはカウンタートークをしっかり用意しておくことが重要です。
例えばネットの口コミで残業が多いと言われている場合、何も聞かれていないからいいやではなく、人事の側から「ネットでこういう風に言われているけど、実際はこうです」と先手を打ちましょう。
多くのリスクにはこれで対処可能です。
とにかく、リスクに対しては先手先手で対応していきましょう。
キーマンの把握
ブロックされる可能性があるキーマンを事前に把握しておくのは非常に効果的です。
配偶者や親、教授などは社内のルールとして入社を承諾してもらうと決めるのも一つの手です。
特に配偶者や親御さんに対しては、入社の承諾をいただいてから挨拶の資料などを送るというのも、対応としてはよくあります。
人事側はネガティブな情報を伝えたくないというのはわかりますが、中長期的な採用を考えると情報開示を積極的に行った上で入りたいと思わせる会社であるべきでしょう。
まとめ
この記事では新卒、中途入社におけるブロックをまとめてきました。
ブロックは実際には非常に個別性が高く、対策が難しい問題です。
一方で、ノウハウや経験の多い採用のプロに相談する価値が高い分野でもあります。
我々のようなコンサルティング会社では、このようなブロックに対する対策も承ります。
基本的にはこのようなブロックは頻繁に発生するものではありません。ただ、10人に1、2人以上発生している場合、何らかの問題があると考えられます。
その要因の多くはネット上の口コミです。削除業者を使ってもまた発生するそのような口コミに頭を悩ませている場合は是非弊社にご相談ください。
【プロ人事オススメ!】内定承諾後の辞退を防ぐための関連記事
まずおすすめしたいのが、親ブロックと一緒に覚えておいてほしいオヤカクを対策するためにどのようにしたら良いのかについてを解説している記事になります。
次におすすめするのが、第三者にブロックされなくても内定承諾後の辞退が出てしまう恐れはあります。それを防ぐためのフォローやイベントについて詳しく解説している記事になります。