新卒採用のメリット・デメリット、新卒採用を導入すべきタイミングを紹介!
基本的なことですが、新卒採用とは何か、何のためにやるのかしっかりと理解・整理しないままなんとなく新卒採用を行っている会社も多いのではないでしょうか。
ということで、この記事では新卒を採用していくことのメリットを改めて解説していきます。
この記事を読んでいただいている企業様としては、中途採用をこれまでメインに行なってきたものの、会社の規模が拡大していくにつれて新卒採用も検討しだしているものを想定しています。
新卒採用でターゲットとなる人材は中途採用と比べるとスキルが低いのが一般的です。
しかし新卒採用は中途採用に比べて難易度が高いとも言われています。
中途でターゲットとなる人材の多くは、中途の人材に比べて業界に対する知識も低いため、知名度などで応募する会社を選んでしまいがちである上、理解力も中途に比べると低くなってしまいがちです。
人事や経営者が頑張って説明しても伝わりづらいことが多いでしょう。
そのような状況を理解した上で新卒採用をやる意味とは何でしょうか。また、どんなメリットがあるのでしょうか。
ここではそれらの質問に答えるとともに、これから新卒採用をやっていくことを検討していらっしゃる企業がどういったタイミングで新卒採用をスタートしていったら良いのか、その始め方を解説していきます。
また既に新卒採用をやっていらっしゃる場合にも、是非読んでほしい内容になっています。
大手の場合には新卒採用と中途が分かれてしまっている場合もありますが、その場合にもきっと学びや発見があるでしょう。
1.新卒採用とは
大学も多様化していますので働いた後また大学に戻ってきたりするケースや、夜間大学などもありますが一般的には学生は就業経験がない場合が多いです。
また入社のタイミングは卒業してすぐですが、採用段階ではまだ卒業していない場合が多いのも特徴の一つです。
これは新卒至上主義や新卒カードと言われています。
超一流企業に中途採用で入ろうとすればかなりのスキルや経験が求められてしまいます。
一方で新卒採用では、学生にスキルを求めない場合が多いため、この「新卒カード」を生かして入社を狙っていくような風潮ができています。
そのため、新卒採用では大手企業の人気が高く、新卒採用は大企業が牛耳っているような形になっています。
新卒を数百人採用するような企業でも、中途採用では多くても数十人など規模がかなり少ないのが一般的です。
また、新卒採用には中途採用とは異なる4つのポイントがあります。一つずつ順に見ていきましょう。
新卒採用のポイント1:就業経験がない
1つ目のポイントは、先程も軽く触れた通り、新卒採用でターゲットとなる学生には就業経験がないということです。
当たり前だろうと思われるかもしれませんが、スキルも経験もない新卒採用で採った人材は、入社後に育てないといけません。また、みんなが就業経験がない状態でスタートしているので、会社側がスキルで判断することもできません。
中途であればスキルでジャッジすることができるので、ここの部分が大きく異なります。
このように新卒採用においてスキルでジャッジできないということは、仕事とは関係ないエピソードや表面的な振る舞いで判断しないといけないことになります。
しかしこれらは学生が作り込んでいる場合も多いでしょう。学生時代に頑張ったことなどマニュアルなどを読みこんでストーリーを作り込んだ結果、面接で話す内容がほぼほぼ作り話になる学生もいます。
新卒採用ではできる/できないで判断できないため、ミスマッチが起こりやすくなる傾向があります。
新卒採用のポイント2:学生が様々な業界を見る
ポイント1に関連しますが、企業側がスキルを見ないため、学生があらゆる業界を志望し、実際に内定まで行くことがありえます。
これが非常に大きなポイントでしょう。
新卒採用のポイント3:時期が限定されている
中途採用の場合は、年中採用することができる上、就職したい人も時期を問わずに見つけることができます。
業界によっては繁忙期には転職しづらいなどありますが、基本的にはいつでも採用することができると言えるでしょう。
一方、新卒採用の場合は卒業して就職するのが一般的です。
また、経団連の就活ルールなどありますが、就職活動の時期も基本的には自由化されているものの3年生の終わりの3月から4年生の6月頃が中心になります。
この時期に応募が集中し、この時期を逃すと採用が非常に厳しくなります。
このように、特定の時期に集中しているという点が新卒採用の大きなポイントになっています。
ここまで見ていただいて、中途採用と新卒採用が大きく異なることがイメージしていただけるのではないでしょうか。
ここからは、新卒採用におけるメリットをご紹介していきます。
こういったメリットがあるからこそ多くの企業が新卒採用に力を入れているというのがわかっていただけると思います。
2.新卒採用のメリット
メリット1:自社の文化を体現できる人材を採用/育成することができる
やはり多くの企業が最も重視するのがこのポイントです。
新卒採用における最大にメリットと言えるでしょう。
中途採用の社員が多く集まる会社では、自社の社風が育ちづらくジョブ型の組織構成になってしまいがちです。
経営陣としてビジョナリーな経営をしていきたいと思った際には、やはり新卒でないと厳しいと言えるでしょう。
まだ働いたことのない新卒は、最初の会社が大きな存在になり、会社とその人が深くリンクしていくことになる場合が多いです。
企業文化を育んでいきたい場合には、この要素が非常に重要になります。だからこそ多くの大手は新卒採用をしているのです。中途が多くなると企業文化が壊れてしまいかねません。
近年ジョブ型やメンバーシップ型の企業も増え、新卒採用によって社員を自社のカラーに染め上げるような考え方が批判にさらされがちですが、育成した社員だからこそ自社の企業文化にしっかりと根ざした人材を作っていくことができると考えることもできるでしょう。
メリット2:年齢構成が整いやすい
新卒採用は当然ながら若手中心の採用になります。
新卒採用をやっていくことで社内の年齢構成のバランスが取りやすくなるのも大きなメリットと言うことができるでしょう。
まだまだ日本では年功序列の考え方が色濃く残っている面がありますので、社内でのコミュニケーションにおいては年下の部下がいることで既存のバランスや社内秩序が保ちやすくなります。
メリット3:将来の幹部候補を育成することができる
新卒採用では若手のうちから入社し、自社のカラーに染めることができることで、中長期的には自社の幹部に据えやすいと言うことができます。
当然優秀な人を外部から雇ってきてリーダーにする場合もあるでしょう。
しかし外部の人材の場合、マネジメントの仕方や考え方が経営者のに合わないこともあります。
結果さえ残せばいいと思えば中途採用を増やせばいいですが、残し方に対するアプローチなども重視する、あるいはそちらの方をより重視するような経営者であれば、新卒採用の方がメリットは大きいでしょう。
少なくとも言えるのが、自分の色に染めにくいのが中途採用です。
そう考えた時に、将来的に経営陣の考え方を体現した幹部を増やしていきたいと考えれば、新卒採用は大きなポイントになるでしょう。
メリット4:人材の採用や育成をまとめてできる
会社によってはその前から研修が始まっていたりすることもありますが、新卒採用においては入社日が4月1日と決まっています。
そのため、新入社員の育成や研修を同時に行うことができ、効率を非常に高めることができます。
育成や研修は非常に時間がかかり、そのコストはばかにならないものがあります。
中途人材はいつでも採用できる一方で一度に研修や育成することができません。
一方で新卒採用では、一人あたりの育成や研修コストが非常に安く抑えることができるでしょう。
3.新卒採用のデメリット
ここまで新卒採用のメリットを解説してきました。
多くのメリットがありますが、実は新卒採用には見逃せないデメリットもありますので、ここからはそのあたりを解説していきます。
デメリット1:採用が難しい
新卒採用はスキルなどのジャッジがないため、優秀な人材は様々な業界を見ることになります。
そのため、中途採用に比べてライバルが非常に多くなってしまいます。
また、中途採用に知新を入れている大手企業は少ないですが、新卒採用に力を入れている大手企業は多いため、ライバルが非常に強い採用手法と言えるでしょう。
デメリット2:教育コストがかかる
教育コストがかかるという点も見逃せないデメリットでしょう。
メリットとして効率的に育成できると言いましたが、新卒採用で採る人材は、社会人としての常識なども理解していないような場合も多く、そこから教えるのは教育として非常に手間がかかってしまいます。
一方でまっさらな状態から物事を教えることができるのは自社の色に染めやすいとも言えるでしょう。
例えば名刺の渡し方にも独自性を付けていきたいなどであれば、教えればそれで覚えてくれるでしょう。
中途採用の人材であれば普通と違うことには抵抗感を感じるかもしれません。
あくまでこれはメリットの裏返しですが、事実問題として教育コストが掛かってしまうのは大きなデメリットでしょう。
デメリット3:入社までのタイムラグが大きい
入社までの期間が非常に長いのが新卒採用の特徴です。
中途であれば決まればすぐ入社するか、現職があっても2,3ヶ月で入社するのが一般的でしょう。
一方で新卒採用であれば入社日は卒業後の4月になるため内定を出してから約1年程度、早期の内定になれば1年半程度かかることもあります。
企業とすれば内定を出すということはその取り消しは基本的にできないため、かなり先に人材の採用を確約しなければいけないのはデメリットでしょう。
デメリット4:入社前辞退の可能性がある
入社前に辞退する学生がいるのは大きなデメリットです。
入社までにタイムラグが発生するということは、入社までに辞退する可能性が高いということです。
本人の意思もありますし、単位が足りずに卒業できないケースも有りますが、入社前辞退の可能性を常に想定しなければなりません。
ここまでで新卒採用にはメリットだけでなくデメリットも有るとわかっていただけたでしょうか。
新卒採用はすべての会社におすすめできるわけではありません。
例えばエンジニアのような専門家の集団であればスキルを持った人材を中途で採用するのが非常にマッチするでしょう。
4.新卒採用を導入するにあたってのポイント
最後に、新卒採用を初めて行っていく企業に向けて、新卒採用をどんなタイミングで行ったらいいのか解説していきます。
複数のポイントがありますが、これらをなるべく満たしているタイミングにおいて新卒採用を行っていくといいでしょう。
ポイント1:複数名の採用が出来る状態
まず、もっと大きなポイントは、複数名同時に採用できるようになってきたタイミングです。
新卒採用は先ほど紹介したデメリットを理解した上で始めてほしいところですが、複数名の採用・入社に会社として対応できるようになれば新卒採用を始めるのにいいタイミングと言えるでしょう。
同期がいないと入社した人材も不安になってしまいます。
また新卒採用は半年くらいは戦力にならないため、それでも耐えられるような状況でなくてはなりません。
半年間収益を期待できない人材に給与を払えるのではなければまだ新卒採用を導入するタイミングではないでしょう。
新卒採用は将来への投資なのです。
ポイント2:翌年以降の新卒採用が出来る状態
毎年新卒の採用ができるくらい将来的なキャッシュフローや事業戦略が見えてきた状態は新卒採用を始めるのに適したタイミングです。中期経営の3年や5年位に関して、実際の細かな人数までは見えなくても、大まかなビジョンが見えてこないとまだまだ新卒採用を始める段階ではないでしょう。
新卒の社員からすれば同期が自分含めて複数いるのも心理的に非常に重要です。
また、後輩がいなくなってしまっても、採用した人材の育成のきっかけを見失ってしまいがちです。そのような観点からすれば、継続して新卒採用を行っていける見通しを持てるかどうかが一つの目安になるでしょう。
ポイント3:ビジョンや社風を確立できる状態
先程解説したように、新卒採用における最大のメリットが、自社の社風やビジョンを体現できる人材を育成していけることです。
創業メンバーは当然ビジョンを共有している場合が多いですが、その後事業が展開していく中でそのような共感が薄まってしまうことも少なくありません。
その意味では、新卒採用をすべきかにあたってまず大事なのは、そのようなビジョンや社風を確立できるかどうかでしょう。
「そんなものもちろんある」という場合には他の2点が合致していればすぐにでもやるのがいいでしょう。
中途で入社してきたメンバーはビジョンへの共感度が低くなってしまいがちなので、ビジョンや社風を伝播させていきたいと考えれば新卒採用を拡大していくのがいいでしょう。あとは時期の問題です。
まとめ
この記事では新卒採用のメリットと初めて新卒採用を行っていく会社がどのタイミングでやっていくのがいいか、新卒採用のメリット・デメリットを交えて解説してきました。
弊社は新卒採用のサポートも中途採用のサポートも行っていますが、自社の社風を強くしていくのであれば圧倒的に新卒採用が優れていると断言できます。
強くなった社風に惹かれて中途が入社してくるということはありますが、社風自体を育てていくのであれば新卒採用をおすすめします。
ビジョナリーな経営をやっていくのであれば新卒採用がいいでしょう。
ただビジョナリーな経営がマッチするかは会社によりますので、慎重な判断が必要になります。
また、新卒採用におけるノウハウなどを知っていきたいという場合にはぜひ当社にお問い合わせください。