「母集団形成」とは、自社の選考に参加する可能性のある候補者を事前に集めておく活動です。
新卒採用では、近年選考に進む候補者をあらかじめ集める母集団形成が、成果を左右する要因の1つとなっています。
では、具体的に母集団形成を行うにはどのような手法を取り入れるべきでしょうか?
その鍵を握る一つの方法として、「合同説明会」が挙げられます。
本記事では、採用のプロが合同説明会を活用した母集団形成の方法について解説します。
母集団形成を行う目的
まず、採用活用において母集団形成を行う目的は以下3点の理由が挙げられます。
- 自社にマッチした人材を採用する
- 採用コストと工数を抑える
- 将来的な応募者の確保につなげる

理由①:自社にマッチした人材を採用する
まず、母集団形成の最終ゴールは「自社にマッチした人材を採用し、定着率を上げること」です。
そのためには、「自社に合う候補者と出会う確率を高めること」が欠かせません。
確率を上げるためには、母集団としてある程度の人数を確保しておく必要があります。
また、十分な母集団を形成する人数がいれば、選考途中の辞退や内定辞退にも柔軟に対応できます。
逆に、母集団を形成する人数が少なすぎると以下のリスクが発生する恐れがあります。
- 目標の採用人数に到達できない
- 選考または内定辞退が出た際に、採用者を補う余地が限られる
- 比較できる候補者が少ないため、妥協で採用する人材を選んでしまう
- 求める人物像とのミスマッチが起こり、早期離職や定着率の低下を起こす確率が上がる
ただし、やみくもに母集団を形成する人数を集めることはおすすめできません。
数だけを重視すると、自社の理念や風土と異なる学生も一定数加わるからです。
その結果、選考途中のミスマッチや採用コストが増えて、採用効率が下がる恐れがあります。
あくまでも母集団とは、自社の求人に興味を持つ候補者の集まりです。
そのため、母集団を形成するメンバーは可能な限り「求める人物像に近い候補者を含める」ように設計を心がけましょう。
理由②:採用コストと工数を抑える
理由①でお伝えした「求める人物像に近い応募者で形成された母集団」があれば、採用コストや工数を抑えることが可能です。
例えば、書類選考や面接の通過率が上がれば、無駄な対応を減らせます。
さらに、自社との価値観が合う母集団は、入社後の定着率向上につながります。
選考・内定辞退に伴う追加募集が不要になれば、広告費や人件費の削減も見込むことも可能です。
なお、ここでいう採用コストとは、広告費やイベント出展費などの「直接かかる金銭的な費用」だけではありません。
以下のような一見金銭を要しない対応も、「採用コスト」として考える必要があります。
- 当日のブース運営や設営・撤収作業(合同説明会出展時)
- 面接官の時間や、他の業務とのスケジュール調整
- 内定者フォローの対応
- 入社後のミスマッチによる損失
- その他採用担当者が行う事務作業の時間
このように、適切な母集団形成は採用から定着率の向上にまつわるトータルコストの最適化が期待できます。
理由③:将来的な応募者の確保につなげる
さらに、母集団形成の効果は当該年度の新卒採用だけに留まりません。
うまく活用していけば、翌年度以降の採用の土台にも活用できます。
例えば選考過程で接点を持った候補者の反応や意見は、次年度以降の採用戦略の改善にも活用できます。
また、母集団形成のプロセスでは「自社を知ってもらう」ことも重要です。
その場で直接応募につながらなくても、企業の存在を知ってもらえば後日応募につながる確率も上げられます。
特に近年は売り手市場や少子高齢化の情勢から、人材の確保が年々難しくなっているのが現状です。
だからこそ、将来的にも企業とつながる人材との接点を保ち続けることは重要といえるでしょう。
特に、合同説明会では「自社を知ってもらい、翌年度以降も母集団形成を行う」ために積極的に活用していきたいところです。
効果的に母集団形成を行う場として活用したい「合同説明会」
合同説明会は、学生に広く出会い、自社を知ってもらう「入口」の場です。
出会った学生を単独説明会や選考につなげる前提で活用すると、さらに効果が高まります。
ここでは合同説明会を通した母集団形成の方法についてご紹介します。
合同説明会を活用するキーワードは「認知の獲得」と「次への接点づくり」
合同説明会では、多くの企業が1つの会場に集まります。
1日で多くの企業の情報を得られることから、社員の人柄や職場の雰囲気を直接候補者に伝えられるメリットがあります。
その特性を活かして、合同説明会では「認知の獲得」と「次への接点づくり」を意識して母集団形成を行いましょう。
キーワード①:認知の獲得
大手・有名企業や人気企業を除くと、就職活動中の学生の多くは企業のことを知りません。
そのため、まずは自社の存在を知ってもらうことが不可欠です。
特にBtoB企業や中小企業にとって、合同説明会は知名度を高められるチャンスです。
また、合同説明会では主催者の集客力を活用できる点がメリットです。
この点では自社で単独説明会を繰り返し開催するより、認知してもらう確率を上げられます。
そのため、自社の魅力や存在をしっかり訴求できるよう、自社の強みを明確に打ち出せるよう工夫していきましょう。
加えて、当日のブース運営ではしっかりと呼び込みを行い、学生へ着席を促すことも重要です。

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キーワード②:次への接点づくり
候補者との出会いの数を増やし、そこから有望な人材を絞り込むのが母集団形成に必要なプロセスです。
そのため合同説明会で自社に興味を持った候補者を、単独説明会や選考へ案内する流れをつくります。
また、合同説明会にはまだ志望業界が固まっていない学生も来場します。
その層にもアプローチできるよう、自社の魅力を訴求しましょう。
具体的な訴求方法として、合同説明会が終了した当日夜から翌日にかけて、説明会に参加した候補者へお礼の連絡を送ります。
その際に個別説明会や座談会など、次の選考ステップを複数用意してブースに参加した候補者に案内しておきましょう。
なお、合同説明会は一度に多くの候補者を相手に説明を行うことから、一人ひとりに向き合って話を行うことが難しい側面があります。
そのため、選考について疑問点がある場合は、メールや次の選考ステップを通してヒアリングできる機会を設けることを候補者にアピールするのもおすすめです。
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合同説明会を活用した母集団形成で心がけたいポイント
合同説明会の場での母集団形成は、効果を高めるために4点押さえておきたいポイントがあります。
それぞれのポイントをご紹介します。

ポイント①:採用ターゲットとペルソナを最初に決める
まず最初に、「採用したいターゲット」と「ターゲットに当てはまる具体的なペルソナ」を設定しましょう。
母集団形成の最終ゴールは、「自社にマッチした人材を採用し、定着率を上げること」です。
そのため、一番最初に採用したいターゲットとペルソナを決めることで、逆算して母集団形成の戦略を組み立てることができます。
逆に、求める人物像が曖昧なままでは、訴求したいアピールポイントが定まりません。
また、せっかく接点を持てた候補者も選考や内定へと進みにくくなります。
ペルソナを設定する際は、求める人材に当てはまる1人の人間を想定して深堀りしていきます。
専攻やスキルだけでなく、価値観や学生時代の経験まで含めて言語化していきましょう。
また、自社で活躍している社員の共通点を参考にしてペルソナを設定するのも有効です。

ペルソナを設定すると、自社の強みの伝え方も逆算して考えることができます。
プレゼンの内容やブース設営のキャッチコピーなどに取り入れて、参加者の目に留まるよう工夫していきましょう。
ポイント②:人数を確保できるよう積極的にアプローチを行う
応募者数が少ない場合、まずは学生に自社の存在を知ってもらう・興味を持ってもらう必要があります。
まずは母集団に必要な人数を算出し、その人数に到達できるよう積極的に学生にアプローチを行いましょう。
母集団形成に必要な人数は、過去の選考通過率や辞退率のデータを元に算出することができます。
今回は新卒採用のプロセスにて、各選考の通過率と内定辞退率をそれぞれ50%と仮定して算出します。
なお、書類選考の通過率のみは比較的安定している状況と仮定し、40%と設定しました。
ここから逆算して母集団形成に必要な人数を算出します。
10(目標の採用人数)÷0.5(内定辞退率:50%)=20
20(内定に必要な人数)÷0.5(選考通過率:50%)=40
40(最終面接を実施する人数)÷0.5(選考通過率:50%)=80
80(二次選考を実施する人数)÷0.5(選考通過率:50%)=160
160(一次選考を実施する人数)÷0.4(書類選考の通過率:40%)=400
ただし、実際の採用では候補者側の都合による「急な面接・選考辞退」が必ず発生します。
そのため、母集団形成に必要な目標人数を約450〜500人と、少し余裕を持たせて設定しておくと安心です。
合同説明会当日はブースの呼び込みを行い、参加者と接点を作ります。
終了後はエントリーした参加者に対して、応募へのアプローチをかけていきましょう。
終了後に参加者へ行いたいアプローチは以下の通りです。
- エントリーした学生にメールを定期的に送る
- 会社案内のDMを送付する
- 学生に電話をどんどんかけていく (電話のアプローチは、実は効果的です!)
母集団形成を作るには「質」も重視していきたい
ただし、ある程度人数が集まってきたら母集団を構成するメンバーの質も意識しながら運用します。
いくら応募数を増やしても、ターゲットに合致しない候補者ばかりでは選考段階でミスマッチが多発するからです。
母集団形成を構成するメンバーの質については、ポイント①で決めたターゲットやペルソナと照らし合わせながら選定・分析を進めましょう。
特にある程度学生からの認知度があり、応募数が毎年一定以上届いている企業はメンバーの質を重視することが必要です。
ポイント③:会場設営や呼び込み、プレゼンに工夫を凝らす
合同説明会は企業のことを知ってもらうチャンスですが、ただ待っているだけではその恩恵を受け取れません。
ひとつの大きな会場に多くの企業が集まるため、何もしないと周囲に埋もれてしまうからです。
そのため、「まずは話を聞きたい」と感じさせるようなブース運営を行いましょう。
特に気を配りたいのが「会場設営」と「呼び込み」、「プレゼン」です。
- 会場設営
-
インパクトのあるポスターやタペストリーを設置することで、参加者の目を惹くことができます。
コーポレートカラーを全面に押し出し、印象に残るキャッチコピーやビジュアルを取り入れましょう。また、起こりがちな失敗としてはチラシをはじめとした機材の設置漏れや搬入忘れが挙げられます。
チラシは多めに用意しておき、備品は事前に会場まで郵送で搬入できるよう手配しておきましょう。
(郵送での搬入は合同説明会ごとにルールが異なる可能性がございます。
詳しいルールは事前に確認の上、主催者のルールに従って搬入してください。) - 呼び込み
-
プレゼンの前後にはブースへの呼び込みを行いましょう。
着席を迷っている参加者がいたら積極的に声をかけることも大切です。
最初は断られることもありますが、コツを掴むと声かけにも慣れていきます。
失敗を気にせず積極的にチャレンジしてみてくださいね。 - プレゼン
-
当日の参加者は多くの企業の話を聞いています。
そのため、心に残るプレゼンを行うには自社独自の魅力を言語化し、きちんとアプローチすることが大切です。また、プレゼンターの話し方や笑顔、立ち居振る舞いもプレゼンの印象を左右します。
緊張しても笑顔を忘れずに、ハキハキと明るく話すよう努めましょう。
特に自社や業界が学生にとってあまり人気がない場合は、参加者に「興味を持たせる」工夫づくりが必要です。
ただ待つのではなく、積極的に興味を惹きつけるアプローチを行なっていきましょう。
ポイント④:学生の反応を見ながらPDCAを繰り返す
ポイント①〜③を取り入れても、最初から母集団形成を一発で成功させるのは至難の技です。
まずは合同説明会のブース運用の経験を元に、成功点や改善点を洗い出していきましょう。
成功点や改善点の洗い出しは、以下の視点から行えます。
- ブースに出席した候補者の人数と、次の選考プロセスに進んだ人数の割合
- 候補者からのアンケート(説明終了直前にアンケートを配布し、回答を依頼)
改善点で得られた内容は次年度以降の採用戦略に組み込んでいくことで、将来的な応募者の確保にもつなげられます。

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補足:合同説明会以外の手法も同時並行で取り入れたい
合同説明会は「まだ自社を知らない候補者に自社を周知し、次の接点を作る」ことに向いている手法です。
そのため、合同説明会だけで全ての母集団形成に必要な人数を集めるのはおすすめできません。
必ず複数の手法を同時並行で運用しながら、母集団を形成する人数を集めていきましょう。
具体的な手法については、この後お伝えするQ&Aコーナーにて詳しく解説します。
母集団形成にまつわるQ&A
ここからは、母集団形成を行う際によく寄せられる質問についてご紹介します。
- 合同説明会以外での母集団形成の手法を教えてください。
-
主に以下の手法が挙げられます。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、複数の手法を組み合わせて母集団を形成していきましょう。- 自社HP:
コーポレートサイト、採用特設サイトなど。
候補者に対する情報発信の基盤になります。
入社後のイメージが分かりやすくなるよう、具体的な情報を掲載していきましょう。 - 求人媒体:
就職・転職サイト、ナビサイトなど。
多くの候補者に広く周知できる一方、競合企業も多いです。
独自の訴求内容を設定して、差別化を図る工夫が必要です。 - 人材紹介会社の活用:
就活・転職エージェントなど。
設定した希望や要件に合致する候補者を個別に紹介し、成約時に紹介料を支払います。
待っているだけでは自動的に紹介してもらうのは難しくなるため、積極的にエージェントにアプローチし、自社の魅力を訴求していくことが必要です。 - ダイレクトリクルーティング:
就職活動の意欲の高い層に、個別にスカウトを送ってアプローチできます。
人材紹介会社と同様、積極的なアプローチと魅力の訴求が求められます。 - インターンシップ:
準備の工数を要するものの、志望度の高い学生と早期に関係を築けます。
特に1ヶ月以上の期間を要する長期インターンは、学生に実際の業務を経験して志望度を上げる効果も期待できます。 - SNS、オウンドメディア:
採用ブログやYouTubeなど。
母集団形成の人数の確保よりも、中長期の期間を要した採用ブランディング向きです。 - リファラル採用:
すでに所属している社員の知人を紹介するシステムです。
定着しやすい人材を集めやすい一方、採用できる人数には限りがあります。
また、リファラル採用のシステムがない場合は、導入から行う必要があります。
- 自社HP:
- 中途採用と新卒採用で、母集団形成の方法が異なりますか?
-
活用できる手法とアプローチの方向性が異なります。
特に、合同説明会を活用した母集団形成は新卒採用で主に行われます。例えば、新卒採用では候補者のポテンシャルや価値観が評価軸として挙げられます。
また、社会人として業界・職種の特性と若手社員の声が判断材料となります。一方で、中途採用では即戦力が求められることから、候補者の経験やスキルが採用可否を決める情報となります。
加えて、具体的な業務、評価、配属、キャリアが応募を決める判断材料となる違いがあります。ただし、合同説明会でも応募に「既卒可」と書けば間口をある程度広げることも可能です。
- 自社のノウハウが少なく、うまく母集団形成を行うことが難しいです…。
-
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また、母集団形成の方法をさらに詳しくまとめた記事を近日公開予定です。
こちらもあわせてご覧ください。


