効果的なオヤカク対策をして、内定辞退を防ぎましょう。
「オヤカク」は「親に確認をする」という言葉の略称で、採用の世界ではある意味で、最も緊張する場面と言っても良いかも知れません。
ただ、実際にオヤカクは学生に丸投げをしていて、結果だけを聞くというケースも多くなっています。
そこで、この記事では、採用コンサルタントのプロ人事がご紹介する、オヤカクの対策やメリットなどをご紹介します。
そもそも、オヤカクは採用プロセスにおける内定承諾以後の最後のピースとなっています。
オヤカクは各企業の人事が独自に対策を行っており、対策の抜け漏れが多くなりがちなものでもあります。
オヤカクとはそもそも何であるのか、オヤカク対策をどのように行っていけばいいのか、この記事で解説していきます。
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1.オヤカクとは?
オヤカクとは、内定を出し、承諾した学生の親に対し本当に問題がないか、入社の承諾を取ることを指す言葉となっています。
使用例としては「この学生はオヤカク取れてるの?」などのように使われます。
内定を出した学生が入社承諾書を会社に持参してきた場合でも、本人の意向だけで承諾書を記載していることがあります。
もちろん、大学生は成人しているので、本人の判断だけで入社を決める事ができますが、親の承諾が取れていなければ後々問題になることもあるため、特に新卒の採用において重要な概念です。
また、近年、このオヤカクの重要性が上がってきています。
ある調査において、人事担当者の60%がオヤカクという言葉を知っており、36%以上が内容まで知っていると回答しているなど、企業内においても徐々に知られてきているキーワードとなっています。
その一方でオヤカクの対策に関しては66%の企業が実際には何もやっていないと回答しています。
つまり、認知度は上がってきているものの、まだまだ有効な対策が打てていないのがオヤカクの現状だと言えます。
採用が難しくなっていく中で内定辞退を防ぐため、オヤカクの重要性が高くなると言えます。
実際に8割以上の親が子供に何らかの就活のアドバイスや就職活動に介入しているというデータもあります。
この事実を踏まえて考えれば、「オヤカク」対策は重要であると考えられます。
さらには、オヤカクを行っている企業が増えている点も見逃せないポイントです。
競合他社がオヤカクをしっかり行っている場合、印象に差がついてしまったり、他社と比較して印象が下がってしまう可能性があります。
オヤカク対策を行っていない企業は2018年の58%から2019年には52%と徐々に下がってきており、オヤカク対策を取る企業が増えています。
2.オヤカクはなぜやるべきか?メリットとは?
「そもそも就職活動は子供のものなのだから、オヤカクなど親への対応なんて行う必要がない」と考えている企業もあるでしょうが、ここではそもそもなぜオヤカクを行うべきなのか、そしてオヤカクのメリットを解説します。
オヤカクを行うメリット①オヤカク対策をすべきと考えている親が一定数存在する
実は26.4%の親が何らかの形で企業から親への情報提供を求めていることがわかっています。
会社の資料の郵送を希望する親が18.4%いるなど、決して主流派ではないものの、無視できない割合の親が、子供の就職先に対して何らかの行動を求めているものであると考えれば対策は行っておくべきと言えるでしょう。
オヤカクを行うメリット②親ブロックを防ぐ
実際に子供の就活に介入する親は存在しています。
そして、そういった親は、不人気企業や無名企業への入社には強く反対したりします。
特に、本人は行きたい気持ちがあっても、今まで育てて貰った親の意見が強く働く学生もいますので、親の反対で入社を断念するケースもあります。
だからこそ、そういった辞退にならないためにも、オヤカクをしっかりと行っていくことが重要です。
また、特に不人気企業や無名企業など、親から強く反発される恐れのある企業の場合には、オヤカク対策の導入は強くオススメします。
3.そもそも「親」は何を求めているのか?
それでは、次は親側が一体、何を求めているのか?
その親の本音の部分を分析、解説していきます。
親が子供の就活に対して感じる不安の4割は、【子供が内定を獲得することができるのか】となっています。
これは、オヤカクの観点では特に不要なので解説を省きます。
次に約3割の不安としては、【子供の志望している業界や企業に問題がないか】の不安であると回答しています。
つまり、オヤカクで解決すべき課題としてはこの観点です。
今度は逆に親側の「子供に入社してほしい企業の特徴」の観点で解説をしていきましょう。
これは実に5割弱の親が「経営が安定している」と答えています。
そして、3割弱が「本人の希望や意志に則っているか」と答えています。
まず、最初の「経営が安定している」と言う点を根拠として示せるかどうかが大きな鍵になります。
この部分を説得力を持って伝えられるような根拠を親に送ることでオヤカク対策に繋げられますが、そこまでのものを示せないのであれば、資料の送付だけでは足りません。
そもそも、2割の親が資料の送付を望んでいるとはいえ、ただ資料さえ送ればいいというわけではなく、それによって不安を解消できるような内容を備えていなければ意味がありません。
資料で補いきれないのであればその他の方法で行う必要があります。
また、3割弱の「本人の希望や意志に則っているか」という点にも注意が必要です。
内定承諾をしてきたのだから、「本人の希望や意志に則っているだろう」と考えるのは軽率です。
例えば、第一希望の会社に落ちて仕方なく、自社に承諾をしたなどの場合、子供側が「第一希望の会社に落ちたからここしかないんだよ」というような投げやりな対応をする事で、親が心配になって「他にも探してみたら?」ということで反対する可能性もあります。
冷静に考えれば、沢山の会社の中から選んで第二希望の会社になった訳ですから、第一希望の会社が落ちても、充分に自分に合っているはずなのですが、第一希望の会社に落ちたことでショックを受け、そういった反応になる学生もいます。
そういった学生側の本心も親は敏感に感じ取りますので、他の会社に落ちて自社に決めたような学生の場合には、オヤカクも踏まえて、慎重な対応が必要であると言えるでしょう。
それでは、次にオヤカクの方法についてを解説をしていきます。
4.具体的なオヤカクの方法とは
オヤカクの方法は、資料の郵送や企業ホームページ・採用サイトのリニューアル、イベントに親を招待するなど様々存在しています。
ここではオヤカクの方法には具体的にどんなものがあるのか、そしてそれぞれの効果やポイントなどを、採用のプロのコンサルタントの目線からご紹介します。
会社情報資料を親へ送付
親が最も想定しているオヤカクの方法が以下の答えとなります。
企業情報資料を親に送付
18.3%の親がこの会社情報資料の送付を望んでいます。
また、企業側も37.9%がこれに前向きであると回答しており、オヤカク対策として非常にオーソドックスなものです。
ただし、【資料を送る】だけで終わってしまってはいけません。
どんな資料を送るかが重要となっています。
実際には、就活生向けのものと同じものを親向けにも送っている企業が多いですが、できれば少なくとも1種類は親向けのものを独自に作るのが理想です。
また、内容に説得力を持たせるには見た目が非常に大事です。
自社の人事部だけで作るのではなくプロのデザイナーを活用しましょう。
ちなみに、デザイン会社に依頼する時、採用のポイントなどが理解できていないので、丸投げをすると意図と異なるものができあがりますし、細かな対応を指示すると工数が掛かります。
私たち、株式会社プロ人事であれば、社内にプロのデザイナーがいますので、採用ツールの作成もお任せください!
また、会社情報についてですが、そもそも経営状態がよくなかったり無名や中小企業であれば、課題点に対してしっかりと反論できるような内容を記載しましょう。
経営が安定していなくても今後の戦略とその見込みをしっかりと開示していく、あるいは、中小であればその業界や業務についての重要性を説くものや今後のニーズの見込みなどを紹介したページを用意します。
また、一般的に不人気業界であれば、昔のイメージで反対する親などがいます。
そういった場合に最近のイメージや取り組みを説くものや競合他社との違いなどを謳っていきましょう。
多くの親はその企業の業界に精通していないため、一般の人に対してわかりやすいやり方で解説することが重要です。
自社の商品を親向けに送付する
親側はそれほど求めていないケースが多いものの、企業側は積極的に行っているものがこの【自社の商品を親向けに送付する】です。
ニーズは少ないですが「知れるならどういうものを作っているか知りたい」という気持ちを持っている親も存在していますし、会社の業務の具体的なイメージを持ってもらうことにもつながります。
ここで問題になるのは、自社の製品がどれほど一般的なのかという点です。
食品などを製造しているメーカーが比較的容易に行える中で、製品の単価が高かったり、商品がB to Bのものでは商品を送付することは難しいため、非常に業界を選ぶ方法と言えます。
企業情報ムービー(DVD等)を親向けに送付する
パンフレットなどと近い属性であるため一緒に送る企業も多いです。
親はそこまで求めているわけではありませんが、パンフレットにはないわかりやすさを求める意味では行う価値があります。
ただ、最新版のものを作り続けるのにはコストが掛かってしまう一方で、古い内容を使い回すと逆効果になってしまうなど舵取りが難しく、当社としてはそこまでおすすめな手法ではありません。
学生に送っているものと同じムービーを送る場合はその内容で親を安心させるという目的を達成できるかが問題になります。
自社の抱える課題を払拭できるような内容なら親向けに作るのも選択肢として検討する価値があります。
後述のホームページなどにYouTubeのURLを載せて限定公開するなどの形も広がってきています。
動画のクオリティをどこまで上げていくのか、予算をどこまで掛けられるのかがある意味で重要です。
中途半端な予算であれば、クオリティーも低くなってしまうので、効果が少なくなってしまう手法でもあります。
親向けの内定理由通知書
内定理由通知書は内定通知書とは異なります。
内定である旨を伝えるという意味では同じですが、どういったところを評価して内定に至ったかの「理由」を記載するのが内定理由通知書です。
単に親側に正式な内定である旨を伝えるだけでなく理由も伝えることて安心してもらうことが目的です。
もちろん、法律的には、大学生は成人していますし、親向けの内定同意書に何らかの法的な根拠はありません。
しかも、家族の事情などによっては軋轢などを生んでしまう可能性もあります。
しかし、親向けにも内定同意書を送り、記載をして貰うことでミスマッチや後出しの内定辞退を防ぐことができます。
ただし、これらの方がマッチするのは、中小企業など、社員数がそこまで多くは無い「社員は家族」というようなアットホームな会社ででない限りはおすすめはしません。
特にこの手法であれば、内定承諾してから辞退するケースを大きく減らす事が可能となります。
中小企業においては数名の内定辞退が致命的な場合がある上、入社が近くなった時期に辞退されてしまうと、取り返しがつきません。
そういった意味では、この手法は限定的な会社に対してではありますが、効果がある手法と言えます。
とはいえ、両親と不仲であるなどのリスクもありますので、行う場合には、システムとして機械的に行うのでなく、個別学生と相談しながら行っていきましょう。
親向けの企業ホームページ・採用サイトを作成する
両親に向けたメッセージや伝えたいこと、子供の先輩になる現役社員の生の声なども強力なコンテンツとして機能します。
パンフレットと同様親が求めるものにマッチするならそれを書き、マッチしないなら自社の魅力をアピールします。
顔が見えるのが重要です。
社員の顔を出すことを躊躇する企業もありますが、親に送付する資料の中にベーシック認証などのキーを入れておけば問題ありません。
その中で既存の社員が顔出しでなぜこの会社を選んだかなどの話をしていくのがいいでしょう。
企業からの電話によるあいさつ/家庭訪問
これもよくあるオヤカク対策ですが、親がこれを求めているケースは殆どありません。
誠意を示すという意味では悪くはないですが、電話口で子供の就活に関し深い話ができる親も少ないため、効果はあまり期待できません。
ただ他の手法に比べてかけるコストがかなり少なく行えるのは大きなメリットです。家庭訪問は電話に比べてコストや時間もかかってしまいますが、直接会うことで安心感には繋がる可能性があります。
親向けのセミナー・イベント
親が参加できるイベントや説明会を開催します。
オンラインでは職場見学なども含めて一緒に対策していくケースが多いです。
一方でオフラインでは場所の制約や感染症のリスクもなく開催できるのが強みです。
ただ親がここまで望んでいない場合が多いため、効果の程は大きくはないかもしれません。
5.オヤカクの際の注意点とは
辞退のリスクに焦点を置きながら対策をすることが重要です。
ただ、最大の注意点としては、オヤカクはすればするほどいいわけではないという点です。
オヤカクを迫りすぎることで親に対して逆に不信感を与えてしまうことも多いです。
また、両親との関係性が悪い学生が一定数存在することにも注意が必要です。
関係が悪くても人事には伝えないことが多く、人事に聞かれても「親は無関心なので」などとごまかして伝えるケースが一般的です。
それに対し踏み込みすぎたりオヤカクを強く要求しすぎると学生のストレスになったり、逆に辞退に繋がる場合もあります。
学生は成人であり、親は就活に対しては何の権限も持っていないというのが雇用対策法などの法的な解釈なので、あくまでもやりすぎないように注意は必要ですが、とはいえオヤカクの重要性は増しています。リスクについては慎重になりつつも、対策をしっかり行っていくことが重要です。
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