人材採用において、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用のメリット・デメリットについてを解説
このコンテンツでは、今話題となっているジョブ型雇用やメンバーシップ型雇用とは何か、そしてそれらの違いやメリット・デメリットについてを解説していきます。
また、メンバーシップ型雇用からジョブ型雇用に組織を変えていきたい場合どのように変えていければ良いのか、実際の採用のプロのコンサルタントであるプロ人事が解説をしていくコンテンツになっています。
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1 .ジョブ型雇用、メンバーシップ型雇用とは? 〜それらの違いを解説〜
まず初めに、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の言葉の定義について解説していきます。
ジョブ型雇用とは?
仕事の内容やポジションなどがあらかじめしっかりと決まっており、そのポジション・ジョブディスクリプションに対して人を当てる考え方になっています。
メンバーシップ型雇用とは?
その人の専門性があるかないかに関わらず、仕事をさせることがメンバーシップ型雇用の考え方になっています。
日本の雇用環境で行われている総合職の考え方が、まさにメンバーシップ型雇用の代表的な例と言えるでしょう。
ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違いとは?
このようにジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用は、仕事ありきなのかその人ありきなのかという点で大きく考え方が異なります。
これらの点に関しては明確にどちらが正しいか間違いなのかではありませんが、それぞれ一長一短がありますのでその違いを解説していきます。
報酬の違い
報酬において、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用は異なる点があります。
職務給は保有しているスキルや専門性の高さ等によって賃金が変わっていく賃金制度となっています。
このような明確な賃金報酬でなくても、手当等で補填していくタイプの賃金制度のものもあります。
どちらの場合でも保有しているスキルや専門性の高さに対して賃金が支払われる考え方になっています。
逆説的に言えば、年齢や勤続年数などによって左右されるものではない報酬体制とも言えます。
また年功序列の要素も含まれているため、年齢の高さなども鑑みて報酬が決められるケースが多くなっているのがこのメンバーシップ型の特徴になっています。
人材の採用の違い
ジョブ型雇用の場合には専門的なスキルを有しているかどうかを重視します。
つまりそのポジションに対してスキルや経験ノウハウなどが合致しているかを中心にチェックをしていきます。
一方でメンバーシップ型雇用の場合には、その会社の価値観や考え方とマッチするかどうかやその該当する労働者の人柄やコミュニケーション能力などが重視される傾向があります。
解雇の違い
ジョブ型雇用の場合には欧米でよく見られるタイプのものになっているため、欧米での社会行政の違いなども含まれていますが、一般的にジョブ型雇用は社員を解雇することがあり得る前提で、運営されているものが特徴的になってます。
一方でメンバーシップ型の場合は、そもそも日本で主流になっている考え方であり社員の解雇が前提ではありません。
2.ジョブ型雇用のメリット・デメリットとは
それでは次に、欧米で一般的とされているジョブ型雇用のメリットとデメリットについてを解説していきます。
特に近年ではジョブ型雇用に転換していきたいと考えていらっしゃる企業様も多いため、メンバーシップ型の雇用との対比を中心に解説していきます。
ジョブ型のメリット1:スキルの高い人材を採用できる
ジョブ型雇用の場合は、専門性に長けた人材を採用する意味で最も合理的な考え方になっています。
その他にもスキルを重視した社内の取り組みができるため、求める人材を効率的に採用していくためにはジョブ型雇用は極めて合理的な手法になっています。
ジョブ型のメリット2:ミスマッチを防ぐことができる
ジョブ型雇用の場合には、あらかじめポジションや職務の内容をしっかりと決めていくことが最初のステップになります。
人材の採用の段階においてあらかじめポジションがしっかりと決まっているため、応募者側と採用する側の双方が、同じ考えを持って採用活動を行えることができ、ミスマッチが発生しにくくなるのです。
これは企業側だけではなくて応募者側にとっても双方メリットがあると言えるでしょう。
ジョブ型のメリット3:オープンな評価体制が構築できる
ジョブ型雇用が構築ができていけば、極めてオープンな評価体制となることができます。
もちろん人によっては不満に感じる人もいるかもしれませんが、その場合は年齢が高いもしくは勤続年数が長いだけでスキルがあまり高くない人からの不満が出る可能性が高いでしょう。
経営側から見た場合、そのような人たちから不満に思われてもそこまで大きなリスクではありません。
むしろそういった人たちから不満に感じて退職になった方が、会社としては新陳代謝が働く形になりますので評価体制としては非常に合理的なものとなっています。
ジョブ型のデメリット1:他の仕事を依頼できない
ジョブ型雇用の場合は、社員が対応する業務内容があらかじめジョブディスクリプションに定められており、その内容のみを行うというものになっています。
実際に日本では、このようなジョブ型雇用を導入したとしても契約範囲外の業務も行ってくれる社員もいるかと思います。
ただし、このように中途半端なジョブ型雇用となってしまうと評価が難しくなってしまうので、基本的な考え方としては当初のジョブディスクリプションに定められている内容をそのまま依頼することを原則意識する必要があります。
ジョブ型のデメリット2:戦略等が変わった場合スキルの転換評価が難しい
デメリット1と繋がりますが、当初のジョブディスクリプションの内容が重視されるので、戦略などが変わった場合のスキルの転換や評価が難しいとされています。
そのためいくらスキルを持っていたとしても、戦略や外部環境が変わりそのスキルのニーズが下がってしまった場合、その対象者の評価が極めて難しいのがデメリットです。
ジョブ型のデメリット3:日本の解雇規制とのアンマッチ
このデメリットは、日本の解雇規制とジョブ型雇用のアンマッチになります。
デメリット2と重複しますが、そもそも欧米のジョブ型雇用が上手くいっている1つのキーワードには「解雇しやすい」背景があるのです。
解雇がしやすいからこそ、本当にその仕事にマッチした人を高い給料で採用することができるのです。
一方でその給与に見合わなかったり、環境などが変わってニーズが少なくなった場合には解雇することができるので、高い給料を払ってでもリスクが相当少ないことからジョブ型雇用が成り立っているです。
また、日本の解雇規制の場合にはスキルや能力が想定よりも低かったり、スキルが必要なくなっても解雇できないため、ジョブ型雇用が当てはまりにくいのです。
現実的にはこれらのリスクを踏まえてでも、ジョブ型雇用を所々に行っていくことが日本のジョブ型雇用のベースの考え方といえます。
3.メンバーシップ型雇用のメリット・デメリットとは
続いてはメンバーシップ型雇用のメリットやデメリットについてを解説していきます。
メンバーシップ型のメリット1:柔軟な対応をしてくれる
メンバーシップ型雇用の場合は、スキルやポジション等を限定した採用ではないため、非常に柔軟な対応をしてくれるのがメリットとして挙げられます。
もちろん当人の希望もありますが、原則的にはメンバーシップ型雇用になっていけば、1つのものに執着するよりはあらゆる業務を幅広く行っていくという考え方になりますので、こういった柔軟な対応ができるのがメンバーシップ型の雇用の最大のメリットといえます。
メンバーシップ型のメリット2:離職等が発生しにくい会社組織になる
離職が発生しづらい会社組織にすることができる点が挙げられます。
一方で従業員側にとっても、1つの勤務先に長く勤務したい安定志向の方がメンバーシップ型の考え方に共鳴していくので、基本的には離職が発生しづらく長期の勤続が期待できる雇用形態であるといえます。
メンバーシップ型のメリット3:会社のことを深く理解してくれる社員が増える
メンバーシップ型雇用の場合にはジョブローテーションも積極的に行われることが多いため、会社のことをより深く理解してくれる社員が多くなる傾向があります。
メンバーシップ型のデメリット1:成果と連動しない社員の処遇
メンバーシップ型の最大のデメリットが、成果と連動しない社員の処遇が難しい点です。
基本的に様々な業務を依頼するのがメンバーシップ型の特徴になっているため、本人がやっていきたいことを100%認められるというものではありません。
特にメンバーシップ型の場合は簡単に給料を下げることもできず、年齢や勤続年数が上がっていくにつれて年収も上がらざるをえませんので、それらの間で問題が発生する場合があります。
メンバーシップ型のデメリット2:スキルが高い社員の不満・スキルの高い人が採用できない
メンバーシップ型の雇用の場合には、高いスキルを持っている社員から不満を持たれるケースが多くなっています。
さらには外部の中途採用で高い能力を持った人を採用する場合でも、その能力に見合った条件をメンバーシップ型では提示することが現実的になかなか難しいといえます。
そのため、世の中的に採用が非常に難しいとされている希少性の高いスキルを持っている人材やエンジニアを採用する場合には、メンバーシップ型の雇用の場合には非常に不利であると言わざるを得ません。
メンバーシップ型のデメリット3:組織構成の硬直、新陳代謝が働かない
また中長期的に見れば年収や人件費が高くなってしまいやすいことも、このメンバーシップ型の特徴になっているため、会社として高コスト体質になってしまいやすのです。
4.ジョブ型雇用への転換について
そして最後に、現在の日本の主要であるメンバーシップ型からジョブ型雇用への転換についてを解説していきます。
基本的には、ジョブ型雇用への転換はすぐにできるものではありませんので、中長期的な計画を持って取り組んでいく必要があります。
また実際にジョブ型雇用をしっかりと取り入れていく場合には、様々な専門家との連携が必要になってきます。そのためぜひプロ人事までお問い合わせいただければ、組織構成構築変更のプロフェッショナルもおりますのでしっかりとコンサルティングさせていただきます。
ジョブ型雇用への転換を行っていく上では以下のようなステップを経ることが重要です。
- ステップ1:ジョブ型雇用の限定的採用
- ステップ2:ジョブ型雇用の選択的導入
- ステップ3:ジョブ型雇用の本格的導入
これらのようなフェーズを行います。
イメージとしては、最初に中途採用等でジョブ型雇用の特別な限定枠を設けて、本当に欲しい人材だけをジョブ型雇用で採用していきます。
この手法だけでも、運営していけば良い人材の採用ができるようになっていき問題解決に繋がります。
さらにこれ以上ジョブ型雇用を導入していきたいと言われた場合には、既存社員の中からジョブ型雇用の形態へ変更することを認める取り組みがステップの基礎になります。
そして最終的なステップとしては、ジョブ型雇用を本格的に導入していき、既存の評価基準や雇用の形態を変更していく作業が異なっていきます。
最終的なステップに関しては、当然ながら従来の雇用形態等と変わっていくケースもあります。そのため労働組合等との調整も必要不可欠ですし、様々な法令遵守する必要もありますので簡単に変えることができません。
しかしながら上記で挙げたメンバーシップ型のデメリットは、日本の産業構造そのもののデメリットともリンクしていきますので、もし変更していきたいと思われるのであればこの辺を重視して変更していく必要があるでしょう。
まとめ
この記事ではジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用についてとそれぞれのメリットデメリットについて解説していきました。
ジョブ型雇用とメンバーシップ型の雇用については、今まさに注目されている考え方になっています。
とは言え日本においてジョブ型雇用は、簡単にはマッチするものではないと思います。
だからこそ非常に技術力を持った人を採用する場合には、ジョブ型雇用の方が差別化が図れるため、有利であるとも言えるでしょう。
自社の環境に応じて、ジョブ型雇用の方が良いのかメンバーシップ型雇用の方が良いのかを判断していきましょう。
ジョブ型雇用を導入していきたい場合にはぜひプロ人事の方までお問い合わせください。
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