離職率を下げるための効果的な方法について、その理由やデメリットを踏まえながら改善点をご紹介
この記事では、離職率を下げるために行う効果的な手法について解説します。
まずは軽く自己紹介させてください。採用のコンサルタントサービスを行っているプロ人事です。我々のサービスの中心は採用ですが、コンサルティングの中で実は社内の離職率の改善なども行っています。
そこで、今回は離職率の改善に関する話です。
我々は採用のコンサルタントですので、いかに辞めない人を採用していくのかを中心に話していきます。
「入社した人が辞めないようにする」という観点と「既存社員の離職防止」という2本軸で説明します。
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1.離職率とは
ここで改めて離職率の定義を見ていきましょう。
離職率は採用の際などに使われるかなり一般的な概念となっていますが、実は明確な定義があるものでもないのです。
また離職率を算出するのも一見計算が簡単に見えますが、厳格に計算しようとすると実はかなり複雑になっています。
「年始に在籍していた社員数」と「その一年後に在籍していた社員数」の2つの数字を使って計算していくのが最もオーソドックスではあります。
多くの企業もこの計算式で見ていると思われますが、厳密に言えば、例えば年始を1月1日とした場合、4月に入社して6月に辞めてしまった社員がいた場合、数字に現れてこないようなことが起こってしまいます。
また、年始から一人も社員が辞めず、中途などで逆に社員が増えてしまった場合には、離職率はマイナスになります。
このように厳格に計算してくのは非常に難しいですが、一般的には簡易な計算式を使って算出されているのです。
また、中途採用の場合には離職率が重視される場合が多いですが、新卒採用の場合には新入社員の3年以内離職率が重視される傾向があります。
ここでは中途採用の場合も新卒採用の場合も両方扱っていきますが、このように一筋縄ではいかないのが離職率になります。
1-1:よく似た言葉 定着率
離職率としばしば混同される概念として、定着率というものがあります。
2つは似た文脈で語られることも少くないですが、定着率は離職率とは逆の意味を持つ言葉で、「どれだけの社員が定着したか」を表します。
具体的には、年始に在籍していた社員が年度末にどれだけ残っていたかという数字で、例えば年始に10人いた社員が年度末に9人になっていれば、定着率は90%になります。
2.離職率の平均
離職率の定義について解説してきましたが、実際にどのくらいの離職率が一般的なのでしょうか。
参考になるデータを見ていきますので、自社の離職率と比較してみてください。
まず、離職率は新卒採用における入社者と中途採用における入社者で大きく異なることを頭に入れておきましょう。
2-1:新卒採用における3年以内離職率
一概に離職率と言っても、学歴や性別、事業所の規模などによって離職率は大きく異なります。まずは学歴別のデータを見ていきましょう。
厚生労働省の資料によると、3年以内離職率はこのようになっています。
【 大学 】 32.8% (+0.8P) 【 短大など 】 43.0% (+1.0P)
【 高校 】 39.5% (+0.3P) 【 中学 】 59.8% (▲2.6P)
一昔前は3年以内離職に関しては七五三(中卒者離職率が7割に対して、高卒者で5割、大卒者で3割)と言われていました。
しかし現状で言えば七五三現象は見られず、中卒で約6割、高卒で約4割と下がってきている一方で、大卒は32.8%と微量ですが、上がってきています。
一方で事業所の規模によっても離職率は大きく異なっています。
特に大卒と高卒では1000人以上の規模の事業所では大卒と高卒で離職率の差が1%しかありません。
離職率という観点では大きな事業所では離職率は殆ど変わらないのです。一方で5人未満であればその差は倍以上になります。
業種などによっても変わってきますので、規模だけの因果関係では見れないかもしれませんが、離職率と言って一般に意識してしまう「学歴」という要素に加えて、会社の規模も非常に大きな要素となっていることがわかります。
■ 新規学卒就職者の事業所規模別就職後3年以内離職率
( )内は前年比増減
■ 新規学卒就職者の産業別就職後3年以内離職率のうち離職率の高い上位5産業
また、業界に関しても、宿泊飲食において離職率が50%を超える中、高い順に娯楽、教育、小売と続いていきますが、業界によって離職率が大きく異なることがわかると思います。
基本的には規模感、採用した学生の学歴や自社の属する業種などを総合的に見て、自社の適正な離職率の数字を算出していきましょう。
ちなみにこの数値は3年以内の離職率であるという点には改めて注意が必要です。
2-2:中途採用における離職率
一般的に、1年で10%、3年以内で30%が目安と考えられています。
もう少し正確に見ていくと厚生労働省の令和元年の雇用動向調査が参考になるでしょう。
令和元年度における一般労働者の離職率は約11.3%になっています。
このことから見ても、わかりやすい指標としては約10%がおよその基準になり、簡易な目安ですがそれより高ければ高い、それより低ければ低いということができるでしょう。
3.離職率が高いことによる2つ大きなデメリット
離職率は一般的に低いほうがいいと言われていますが、それは何故でしょうか。何故流動性の高い企業はよくないと思われているのでしょうか。
それには以下のようなデメリットが関係しています。大きく2つに分けられるそのデメリットを見ていきましょう。
デメリット1:人材関連のコストが上がっていく
まず1つ目のデメリットは、人材関連のコストの増加です。
社員が辞めてしまうと、新しい社員の採用や育成のコストがかかってきてしまいます。
また、辞めていく社員の引き継ぎのコストなどもかかってきてしまうでしょう。
目に見えづらいところで多くのムダが発生してしまうのです。
デメリット2:採用する際にネガティブな影響が出る
離職率が高くなってしまうとその分口コミが悪くなってしまい、採用がうまく行かなくなってしまいます。
というのも、離職に至る社員は当然会社に対して何かネガティブなものを抱えており、離職してからそれをインターネット上の口コミサイトに元社員として投稿する可能性があります。
また、実際に離職率が悪化することで、応募者の懸念材料が増え、会社に対する悪いイメージが先行してしまうきっかけになってしまいます。
その結果さらなる広告が必要になるなど非常にネガティブな影響が出てしまうでしょう。
4.そもそも、何故人は離職するのか
離職率を下げるという点においては、何故人が離職するのかの理由を把握することが必要不可欠です。
ランキングやデータによって離職の理由は異なりますが、主なものは基本的に限られていますので、自社の状況に照らし合わせて対策を行っていくといいでしょう。
辞める理由1:労働条件
勤務時間や年収面などの労働条件が離職理由として非常に多く挙げられています。
特に時間面、休暇面に関しては男女ともに高い数値となっています。
これに関しては人事側で対応することができないため経営陣を巻き込んで少しずつ改善する必要があるでしょう。
辞める理由2:人間関係・コミュニケーション
女性を始めとして多くなっている離職理由です。
先程の労働条件とは異なり、人事として対応可能になっています。
人間関係の悩みには、単に人としての合う合わないなど、人事によって解決が簡単でないものもありますが、ハラスメントなど解決に向けた取り組みが可能なものもあります。
辞める理由3:仕事面、やりたい仕事かどうか
男性で非常に多い意見ですが、仕事内容が自分のやりたいことでなかったり、多大なことを求められて役不足になってしまっているなど、業務内容とのミスマッチから離職を決意する場合も少くないようです。
5.どうやって改善すればいいのか
離職につながる理由を見てきましたが、ではどうすれば離職率を改善することができるのでしょうか。
具体的な取り組みの例をご紹介します。
改善策1:現職の社員との面談
大前提として、離職率を改善していこうとすれば、社内の問題を把握しないと始まりませんので、まずは面談を行い情報を集めていきます。
人事が面談をすると大げさになってしまうようであれば、直属の上司との1on1で代替してもいいでしょう。
しかし、そのような1on1ではどうしても普段の業務の延長になってしまう場合もありますので、しっかりと効果的に問題を把握したいのであれば人事が面談を行うのがおすすめです。
半年に一回など定期的に面談の場を持つことで社員の不満などを把握することができるでしょう。
改善策2:社内広報、インナーブランディングの活用
単に面談をして終わりでは、当然ながら何の解決にもなりません。
面談では色々な人が自身の立場から大なり小なり色々な事を言ってきますが、当然それを元に改善に取り組んでいきます。
しかし、それ以上に重要なのは社内外へのアピールになります。
そこで集めた情報を活用して改善しても、それを可視化しなければいけません。
離職者を減らすためには、離職に繋がるような問題の解決はもちろん、実際に問題が起こってしまっても、それに取り組んでいると思わせることが必要になります。
問題点に取り組んでそれを解決したもの、解決はしていないけれど解決に向けて取り組んでいること、ともにしっかりと社内へ発信してきましょう。
改善策3:退職予定者へのインタビュー
離職率の改善策の中で最も効果的と考えられているものです。
改善策の1で触れた面談は、退職するつもりもない人とも話していくので、従業員満足度は上がるかもしれませんが無駄が多くなってしまいます。
その意味では、退職予定者へのインタビューが最も効率的に問題を把握できる手法なのです。
このインタビューはあくまで引き止めを目的とするのではなく、どうすれば改善できるのかの対応を改めて考えていくための材料に使っていきます。
では引き止めるわけでもないのに、なぜこのインタビューが大事なのでしょうか。
実際に既存社員は1on1の面談でもあまり本音で話してくれません。
一方で、退職予定の社員は、最初はあまり話してくれなくても、「どうせ辞めるし」と本音で話してくれることが意外と多いのです。
しかし、多くの離職予定の社員が波風立てずに辞めたいと思っている中で、社内で聞き取りを行うのは問題につながってしまう可能性もあります。
また、人事としても社内の悪い点ばかりをきくことで、逆に離職の意向が高まってしまうこともありますので、そのような問題を防ぐためには社外のコンサルタントの活用もおすすめです。
まとめ
離職率を下げるための3つの取組みをご紹介してきましたが、ここにご紹介しきれなかったものとして、直近入社した社員を退社させないオンボーディングも重要になっています。
入社して時間のたった社員だけでなく、直近入社した社員を退社させないことも、離職率の改善においてはポイントとなります。
ちなみに、オンボーディングとは、入社した社員がスムーズに活躍できるようにサポートしていくことです。
詳細な点はこちらの記事で解説しておりますのでご覧ください。
離職率の改善が重要であるとは言われている中で、その具体的な内容を解説してきました。また、我々プロ人事は採用のコンサルティング業務を行っており、採用の改善と離職率の改善を一緒に行っていくことができます。
離職率の改善だけにコストを掛けるのはちょっと抵抗がある、という場合にも、採用の数字の改善も同時に行っていくことがでいますので、お気軽にご相談ください。
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